
大きな絵を楽しむためには壁面のスペースが必要だった
玄関から長い廊下をたどると、まるでギャラリーのようなリビングダイニングが登場する。正面の広い壁には、大きなアメリカンキルとが掛けられ、両隣にはアーティスティックな彫刻も飾られている。都心とは思えないほど緑豊かな環境の中にあるこの住まいは、広さを求める外国人に人気のあるマンションとして名高いシリーズの一つ。建築家の各務さんがリフォームを手がけた白金台のKさん宅である。
もちろん、投下の途中にも絵を飾るための棚がしつらえられているうえに、室内のそこここに絵画やアート、美術書が存在している。それらを引き立てるように先祖代々受け継がれてきた家具や、骨董がアクセントを加え、趣味のよさがうかがわれる空間だ。
約20畳のリビングダイニングは窓もたっぷりあるが、壁のスペースも多い。以前画廊を経営する知人から、「日本では気軽に飾れる小さな絵のほうが売れる」と聞いたことがある。絵を飾れる広い壁面も重要だが、引いたポジションで眺められる奥行きも重要なのだ。この広さと床の間のように飾るコーナーにしつらえた壁面があれば、存分に好きなアートを眺めて暮らすことができるだろう。
「購入したときは、それほど意識されていなかったようですが、帰国して実際に住み始めると、外国人向けであることが使いやすいと感じられたそうです。たとえばトイレが3つあること、一見無駄に見える廊下の存在が、PP(プライベート部分とパブリック部分)分離やゆとりにつながっていること、収納スペースが多いこと等々ですね」
リフォームの際もリビングダイニングを広げただけで、大きく間取りを変える必要はなかった。広さにあわせたつくりと間取りの家に暮らし方を分かった住み手。絶妙の組み合わせが、心地よい落ち着いた空間を作り出している。
右:窓からマンションの中庭が眺められるリビングダイニング。柱や張りを感じさせないようにリフォームされている。
上:アート作品が映えるオフホワイトの塗装壁と絵画用のスポット照明を設置。Kさんは夜中に目が覚めると眺めていることがあるという。
左:玄関から続く廊下は、アガチスの羽目板張りの壁が続き、あたたかみを感じるスペースとなっている。
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